坂東三十三観音巡礼の第9番札所、都幾山 慈光寺。埼玉県ときがわ町の険しい山中に位置するこの寺は、古くから「坂東の難所」の一つとして知られ、修行の地としての厳かさと、国宝を抱く文化財の宝庫としての顔を併せ持っています。1300年以上の歴史を持ち、かつては山内に75坊もの寺院を擁し、比企地方の信仰の拠点として栄華を極めたといい、今もなお修行の地らしい厳かな空気に包まれています。
慈光寺の歴史を語る上で欠かせないのが、鎌倉幕府との深い関わり。源頼朝をはじめとする歴代の将軍たちが、戦勝祈願や心願成就のためにこの寺を訪れました。その繁栄を象徴するのが、日本三大装飾経の一つに数えられる国宝「慈光寺経」。平安・鎌倉時代の美意識が凝縮されたこの写経は、装飾経の最高傑作として名高く、この寺がいかに高い文化水準を保っていたか表しているということが言えるそうです。
慈光寺の御朱印

慈光寺の令和8年午年結縁特別散華



慈光寺境内点描。

観音堂の奥深くに祀られているのが、本尊である十一面千手千眼観世音菩薩。
鎌倉時代に造られたとされるこの観音像は、一木造りの力強さと、すべての人々を救い取ろうとする柔らかな慈悲が共存する傑作。頭上の十一の顔はあらゆる方向を見渡し、千の手と千の目は、どんな小さな悩みも見逃さず救いの手を差し伸べる究極の慈悲を象徴しているといいます。
普段は秘仏として大切に守られていますが、その存在感は厨子の外にまで漏れ出しているかのような、圧倒的な静謐さを堂内に湛えています。



境内には「日本最古級の梵鐘(重要文化財)」や、夜な夜な抜け出して田畑を荒らしたという伝説を持つ左甚五郎作の「夜荒らしの名馬」の彫刻など、歴史ファンを唸らせる見どころが随所に点在しています。




坂東三十三観音霊場札所の御朱印と令和八年午年特別結縁巡礼の奉修記念として限定で頒布されている散華をまとめました。
坂東三十三観音霊場札所の御朱印と散華(令和八年午年特別結縁巡礼) - h-kikuchi.net