栃木県栃木市の関東平野に突如として現れる、切り立った断崖絶壁の山があります。それが、標高172.7mの岩船山(いわふねさん)。その頂にある高勝寺は、宝亀2年(771年)に開山されたと伝えられる古刹。古くから「日本三大地蔵」の一つに数えられ、地蔵信仰の拠点として栄えてきました。また、恐山(青森)、立山(富山)と並び、日本三大霊場の一つに数えられることもあります。かつて「人は死んだら岩船山へ行く」と信じられ、身内を亡くした人々が供養のために訪れる厳かな祈りの場としての側面を持っています。
また、現代では「特撮ヒーローの戦場」という意外な顔を持つ、 非常にユニークなスポットです。高勝寺のふもと、採掘場跡地は、特撮ファンにとって「見たことがない人はいない」と言われるほどの超有名スポット。『仮面ライダー』や『スーパー戦隊』シリーズなどの戦闘シーンにおいて、派手な爆破シーンが撮影されるのは、多くの場合ここ岩船山とのこと。近年では、新海誠監督のアニメ映画『秒速5センチメートル』に岩舟駅や周辺の風景が登場し、アニメファンの聖地巡礼の地としても人気を集めているそうです。
岩船山高勝寺の御朱印


高勝寺境内




岩船山を語る上で欠かせないのが、その独特な山容。ここはかつて良質な「岩船石」の採掘場で江戸城の石垣などにも使われた採掘の歴史により、山肌は垂直に削り取られました。崖の淵に建つ江戸時代の三重塔が関東平野を一望する景色の中にそびえる姿は、まさに天空の寺院を彷彿とさせます。







帰りに立ち寄った、天台宗中興の祖として有名な慈覚大師(円仁)誕生地。高勝寺とゆかりが深い仏教界のスーパースター。慈覚大師は岩船山に滞在した際、一刀三礼(一刻みごとに三回礼拝する)の礼を尽くして、地蔵菩薩の像を刻んだという伝説が残っており、これが高勝寺の信仰の中核となりました。






