鎌倉時代に、中国から帰国した高僧・業海本浄によって開山された栖雲寺(山梨県甲州市)。武田信玄の先祖にあたる武田信満の菩提寺でもあり、戦国時代にかけて東日本における臨済宗幻住派の中心的な寺院として栄えました。武田勝頼が最後に目指した寺としても知られています。
栖雲寺の寺宝の中でも群を抜いて異彩を放つのが、「十字架捧持マニ像」。
11月8日、9日に寺宝の風入れが行われ「十字架捧持マニ像」も公開されたので拝観してきました。
2日間限定の特別御朱印もいただきました!


この「十字架捧持マニ像」に描かれているのは、3世紀にペルシアで興り、シルクロードを経て中国にまで伝播したマニ教の開祖・マニ。マニ教は、ゾロアスター教、キリスト教、仏教など、当時の多様な宗教要素を取り入れて成立した世界宗教でしたが、マニ教は中国では弾圧の対象となり、関連する美術品は世界的にもほとんど残されていないそう。現存するマニ教の礼拝画の中でも、開祖マニ本人が、真正面を向いた「拝むべき像」として描かれている作品は、この栖雲寺の一幅のみだとか。
最新の説ではマニ教におけるキリストを描いた画との見方が有力だそうですが、いずれにしろマニ教、仏教、キリスト教という三つの宗教要素を併せ持った世界的にも貴重な絵画には変わりありません。ニューヨークのメトロポリタン美術館から貸し出し依頼があった際、保存状態が良くなくて貸し出しを断ったところ、美術館から4万ドルが提供されて修復がされたとのこと。世界が認めた希少な逸品です。
栖雲寺本堂

蕎麦まつりが行われていて抹茶と和菓子のおもてなしもしていただきました。





近くにある天目山温泉。温度と泉質が良く、景徳院や栖雲寺参拝の際に利用しています。紅葉が見事でした!


